おしぼりの日常

低レイヤが好きです.

2023 年の振り返り

はじめに

1 年の振り返りというやつです.スマブラと研究をしていました.

スマブラ

今年は何の年かと聞かれたらスマブラの年ですと答えるくらいにはスマブラをしていました.研究室になぜかスマブラが常備されているため、1日1~3時間くらいしてしまいました.うちの研究室はやることやっていれば何してもいいスタンスなので、スマブラをやるために研究をしていたと言っても過言ではないです.

僕は剣士キャラが好きで最初はアイクを使っていましたが、10月あたりからはマルスをメインに使っています.アイクは基本的には空Nをこするだけのキャラなのですが、(1) 復帰が辛い (2) 発生が遅い (3) ガード固めの相手は割とテク(透かしつかみなど)がいる、などの点が辛かったです.ただ、武器である剣のリーチの長さを活かすために間合い管理を意識できるようになったのが良かったです.マルスは先端を当てるのが気持ちよすぎて今ではほぼメインです.アイク以上に間合い管理が重要になるので、間合い管理の能力は伸びたと思います.また、アイクよりも復帰阻止が断然強いため、復帰阻止も上達しました.特にマベ1段でディレイかけてからの空後はそこそこの精度になった気がします.また、最近はあえて急降下せずに様子を見てから技を出す、みたいなことも少しできるようになりました.反射神経が良くないのでたびたび判定で負けるデメリットもありますが、なんかかっこいいので最近は技をあえてあまり出さずに様子を見るような立ち回りをしがちです.ただ、(1) 崖・地上受け身 (2) 台を使った確定コンボ(上強・空上でつなげるやつ)(3) 掴みの精度 (4) 相手に合わせた立ち回りなどは全く安定していないので、今後の課題です.特に (4) はオンラインをやっていないので身につかず、CPU 戦でなるべく色々なキャラに慣れるようにしています.ただ、最近はキンクルを使い始めてから「破壊は全てを解決する」と思い始めています.全人類はエクスタシーを見ましょう.メテオ楽しいです.

スマブラを始めてから動体視力は少し向上した気がします(?)

就活

僕は 2022 年の 10 月に入学しているのですが、12月あたりには内定を頂けました.結果としてスマブラ(研究)に集中できたので、非常に感謝しています.正確には去年の出来事ですが、去年の振り返りが存在しないのでここに含めておきます.

自分の就活はほとんど悩みませんでしたが、強いて言えばセキュリティとインフラどちらを軸にするかを悩みました.いや、就活当時はインフラ技術しか大して知らなかったので、むしろインフラを軸足にすると決めてから研究過程でセキュリティにも多少詳しくなったこの事態を自分の中でどう腹落ちさせるか、で悩んだのかもしれないです.観点としては主に 3 つで、

  1. 好きかどうか
  2. 得意かどうか
  3. 将来性があるかどうか

です.まず好きなのは間違いなくインフラです.セキュリティは研究をする上では楽しいですが、CTF やセキュリティの業務(レッド・ブルー共に)はあまり興味が出ませんでした.次に得意かどうかですが、これもどちらかというとインフラの方が得意かなと思っています.インフラはいろいろな技術(アプリケーション・ネットワーク・ストレージ)を横断的に理解し、適切に組み合わせる、みたいなことが必要なのかな(?)と思ってますが、セキュリティに関してはむしろ、特定の技術に対する深度が大事な気がします.まあこれは完全に偏見なので、なんとなくです.最後に将来性があるかどうかですが、これはややセキュリティに軍配が上がるかなと思っています.LLM を始めとする AI 技術の発展に加えて、クラウドにおけるフルマネージド化の流れを見ていると、「本当に何十人もの人間が常に気をつけてインフラを設計・改善をしないといけないほどアプリケーションの複雑化は止まらないのか?」みたいな疑問があり、どこかでインフラ技術の発展がほとんどのアプリケーションが必要とする非機能要件を今よりもはるかに容易に満たせる世界が来てしまうのでは?と思っています.一方で、セキュリティは常にシステムが存在する限り需要は増え続ける分野な気がしています.また、自動化も心理的にしづらい気もします.

上記のようなことを考えていたのですが、最終的にはインフラがカバーする非機能要件の中には当然セキュリティに関するものも含まれており、セキュリティもできるインフラエンジニア(内定した職種で言えば SRE)として頑張ればいいのでは、となっています.今後どうなるかは分かりませんが、頑張りたいところです.

研究

スマブラに飽きたら研究をしていました.卒業まで 9 ヶ月残して修論はだいたい書けたので、ひとまず問題はないです.業績は全くないので、残りの期間で論文をちゃんと通せたらいいなあと思っています.大して書くことはないですが、どうせ筆をとる機会も大して無いので、駄文を生成します.内容は「研究を通して身についた気がするもの」です.

  1. 自分のアイデアを複数の視点から言語化・分析する
  2. 自分のアイデアを人に納得させるのに最適な状況を考える
  3. 自分のアイデアの価値を証明するために必要な説明・手順を考える
  4. 上記を他人のアイデアについても行う

最初の 3 つの力は論文の構成そのままになっていると思います.Abstract や Introduction では 1 と 2 、Related Work や Preliminaries から Evaluation までを通して 3 が必要になる印象があります(適当).

研究の初期段階では、指導教員から研究テーマについて「それって何の意味があるの?」とか「それって誰が嬉しいの?」などの質問を受けます.僕なんかは「なんか面白そう・実装が楽しそう」という理由だけで研究テーマを考えていたので、色々な角度からどうにか上手いこと "良い研究っぽく聞こえる" ストーリーを考えます.これが 1 の力に繋がったと思います.物は言いようですね.僕は技術そのものが好きで情報系に来たタイプですが、研究では技術によって実現できること・社会に与える影響を答える必要があり、意外と楽しかったので、この能力が仕事でもなんか役立つといいなあと思っています.また、この段階ではどうしても少し抽象的というか、一歩引いた視点が必要になるため、もともと抽象的に物事を考えるのが苦手な自分にとっては良い薬になった気もします.今でも抽象的に考えるのは苦手ですが.これは指導教員の受け売りですが、修士の研究なんてのは成功しなくても論文が書けるのだから、良く言えば信念を、悪く言えばワガママを突き通すのが大事なのかなと思います.

何となくアイデアが固まると具体的なユースケースを考えます.つまり、自分の研究が具体的にどこで役に立つのか、を考えます.これも全く考えていなかったので、"なんだか最初からそのユースケースに着目していたかのような" ものを捻り出します.これが 2 です.やはり物は言いようです.僕の同期にはユースケースがトラウマになるほど嫌いな人がいますが、気持ちは分かります.特に情報系は技術先行な研究もそれなりに多く、実際に自分の提案したものが使われる状況を考えるのはかなり大変でした.理想的にはユースケースから研究を考えるのが良い(つまり既に存在する課題を解決する)気もしますが、自分のアイデアからユースケースを見つける(つまり自分の持つ考えや視点からこれまでに着目されていなかった問題を見つける)ような進め方も良い気がします.少なくとも自分は後者でした.まあ全部適当です.知らんけど.

3 は論文を書いたりスライドを作成したりするときに色々と考えました.僕の研究は国内でも取り組んでいる人が少ない分野であり、かつ根幹となるアイデア自体が(シンプルだけど)あまり過去にない類のものだったため、「背景からどう前提知識・関連研究を説明し、自分の提案につなげるか」という部分にだいぶ悩みました.方法論としてはありきたりですが、自分が最も着目してほしい研究のポイント(視点)から書くのがよいのかも?と思っています.例えば、研究がこれまでに他の研究で着目していなかった指標に着目している場合、既存研究もその指標の観点から述べます.まだ論文は 2 回しか書いてないので、あくまで現時点で言語化するとですが.このあたりの能力は技術ブログを書くときにも重宝しそうですが、自分はかなりの面倒くさがりなので、この能力が活用される機会はあまり多くない気がします.技術記事はせっかく面白いことをやっているのに主となるメッセージが分かりにくい(あるいはそうしたメッセージを持たない)ことも多いので、もっと論文に近いメッセージ性のある記事が出てくると個人的には面白いなと思っています.そんなことするくらいなら論文読めという指摘はその通りです.

4 は研究室内の議論(= 後輩の研究をチクチクする)で培われたと思います.指導教員や博士の先輩のような優秀な人を見ていると、自分の意見だけでなく他人の意見に対して非常に(時には本人よりも)解像度高く分析し、的確なコメントを行なっていました.こうした能力は分野に限定されるものではないため、自分としては特に身につけたい能力の一つでした.今でも身についているとは口が避けても言えないですが、センス or 議論の繰り返しの中でしか身につかない能力であり、少しずつ向上していると最近は感じています.仕事では期間・お金などの理由により妥協点を探すことになると勝手に考えているのですが、大学院は「膨大な時間の中で特定の問題を突き詰められる」場所なので、このような時間効率を無視した議論により培われる類の能力は卒業するまでに磨きをかけておきたいです.

まだまだ未熟ではありますが、研究生活の中で身につけるべき能力をほんの少しは身につけられたと思います.大学院の利点は

  1. 上述のような技術に依存しない能力の獲得
  2. 特定の技術を好きなだけ深められる

の 2 点だと思っており、残りの研究生活は後者に力を入れたいと思っています.具体的には研究の中でストレージ技術に特に興味を持っているため、このあたりの知識をちゃんと増やしていきたいです.研究の中で RDBMS を実装しているので、一般的なRDBMS の構成は把握しているのですが、インデックスとかトランザクションとか並行処理周りはほとんど何も知らないので、このあたりをしっかりと頑張りたいです.また、就職は SRE 職として内定を頂いているため、そのあたりの知識も少しずつインプットしたいです.ちなみに僕は国内のストレージ関連の論文の中で NAIST 卒業生の油井誠さんが書いたこの論文 (注:クリック時にダウンロードされます) が最も好きです.

私生活

端的に言えば、カスでした.自炊はしない、段ボールは開けない、無駄なサブスクを契約する、ジムは契約したのに行かない、冷蔵庫は買わない、電子レンジも買わない、IH も買わない、等.自分はだいぶ適当な環境でも生きていける人間だと自覚しました.

来年の抱負

  • ISUCON 2024 に出場する
  • ストレージ技術に詳しくなる
  • ジャーナル投稿・国際会議 1 本通過

おしまい!